投げ銭フリーマーケット
家族でアウトドア(1)



ロープで遊ぼう 文:石井研二 絵:石井光



覚えておきたい結び方

ふた結びと自在結び
 キャンプや山歩きなど、あらゆるアウトドア遊びにロープワークは重要である。今回から4回、ロープワークを楽しんでみよう。
 いわゆる登山をしない人でも、ショップの登山コーナーでロープを10メートルとか20メートル買っておくと便利だ。洗いものを干す、荷物を運ぶ、ブランコや縄梯子を作る。大きなものから日常的な用事まで、あらゆることに使えるのだ。
 今回は木などにゆわえて便利に使う結びを2種類紹介した。子供たちと家で練習しておこう。
 ふた結びで木と木の間にロープを渡すと、キャンプの撤収時にテントや寝袋を干したり、イラストのようにランタンを吊るしたりするのに便利だ。
 ロープの中ほどをつまんでランタンの持ち手に通し、クルッと周してコブ結びを作ればいい。ランタンを別の場所に持っていくときは、コブ結びだけをほどけばいいわけだ。
 ただし、ふた結びはあくまでほどきやすい簡易な結び方。人命救助や、急流を渡ったりするには弱すぎて危険である。
 テントやタープのペグ側に使うのが「自在結び」。その名の通り、張り具合を自在に調節できる便利な結び方だ。タープ側から引っ張っても動かないが、ペグ側に引っ張ってちょっとゆるめてやるとすぐ撤収できる。ぜひ覚えておきたい結び方のひとつだ。



船乗りゆかりの結び方

巻き結びともやい結び
 ロープワークの2回目、ご紹介したのはいずれも船乗りにゆかりの深い結び方。応用範囲は広く、よく練習しておきたい。
 巻き結びは、上からかけて結ぶ方法を絵にしたが、立ち木に結ぶ場合はそうはいかない。そのときは、木の幹にロープを二度巻いて、からめるように締める。巻き結びは綱の両端にテンションがかかっていないとスルッと抜けることがあるので注意。船を仮に止める結び方なのである。
 もやい結びはイラストのように木に巻くだけでなく、ロープの先に輪を作るのに最適。カウボーイの投げ縄と違い、強く引いても輪の大きさは変わらない。輪を何にでもひっかければいいから便利だ。ハンモックのロープの先に輪があれば、枝にかけるだけで設営完了したりする。
 輪の大きさが変わらないことを利用して、体を支えられるようにしたのが2重もやい。2つの輪を分けて、脇の下と膝にかければ、ブランコを楽しめる。
 まず、ロープで大きな輪を作る。その輪を枝に回してくぐらせればぶら下がりが作れる。下側で2重もやいを作れば、ブランコの完成。引っ張ってはずせるように細い補助ロープを付けておけば完璧だ。
 斜面を落ちて上れない人を助けるのにも使われる結び方である。実際、これで人を引き揚げるのはかなり力が要るが。



暮らしの知恵が凝縮

ふたえつぎと薪の運び方
 太さの違うロープをつなぎたいときがある。例えば小川の向こう岸にロープを渡したいが、太い綱を投げるのは大変だ。まず細引きを投げ渡し、太いロープをつないで引っ張れば良い。
 また、イラストのように四角い布の中央にロープを縫いつけておく。このロープを、周囲の木から伸ばした細引きとつなげば、タープやテントが出来上がる。
 こういうとき、ロープをつなぐのが、ひとえつぎ、ふたえつぎという結び方。今回はよりしっかりしたふたえつぎの方を紹介したい。これも舟を係留したりえい航するために、船乗りが考えた結び方のようだ。
 ロープというのは実に変幻自在。登山家、船乗り、釣り人、あるいは様々な民族の暮らしの知恵が凝縮されているのだから、こんな便利なものはない。
 イラストの左側では、薪の運び方を紹介した。紹介したと言っても、結び方としてはむちゃくちゃカンタンなもの。適当な長さの輪を作っておいて、薪の束にまわしくぐらせるだけだ。
 これなどは覚えておくべきロープワークというより、「ロープでいろんなことができる」と分かっていれば、自然にできるようになることではないだろうか。
 登山に使うカラビナやナスカンといった小さな輪を組み合わせれば、つるしたりつないだり、より自由にできる。登山店で見つけてみよう。



縄ばしご組み「秘密基地作り」

巻き結びと縄ばしご
 ロープワークのしめくくりは、木を使って作る結び方のご紹介。
 イラスト左のかまどは、1本の木に巻き結びをして、綱の両端をよじり合わせ、もう1本と一緒に巻き上げる。2本の間を2回ほど巻いて、最後は端を巻き結びでとめ、できあがり。
 2本を30度くらいの角度に開くと、縄がさらに締まり、安定する。最初にあまりキツく巻くと、足を開けなくなるので加減が必要。
 二脚を、鍋をかけても大丈夫なように自立させるには、足元を埋め込むこと。かまどでないなら、横木を二脚にしばって固定すれば自立する。低く作ればベンチになるし、高く作ればテントの骨組みになる。
 三脚にするなら、真ん中の木で巻き結びして、両側の木にロープを巻く。ただ巻くのでなく、編むように互い違いにロープをかけるわけだ。木の間に2度ほど巻いて端をとめるのは二脚と同じ。なべを吊るしてかまど、上に板を置いてテーブルと、応用範囲は広い。
 長いロープと棒を用意できれば、縄ばしごが作れる。棒にロープを回して、ひねって端を通し、しっかり締める。それの繰り返しだ。秘密基地作りが始まる。高い枝から落ちないように、くれぐれも気をつけて。
 棒がなくても、2つ折りにしたロープの両端で、40センチおきぐらいに本結びを繰り返せば、簡単な縄ばしごが作れる。


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