にこアニメ ギャラリー白川/京都 個展について
2009/6/6〜21

ギャラリー白川 2009年個展 Top

ここは、個人で活動している作家さんや、作家志望の方にも読んでいただけたらな、と思って書いている私の個人のサイトです。カッコつけて良いことだけ書いても仕方が無いので、本当のところを書いてみることにします。
ではどうぞ。
 
 
●初めての企画展

でした。

今まで、『一人で勝手にやってるんだから、制作も発表も、好きにやらせろ〜(`へ´)』と、うそぶいていた私ですが・・・
今回は、絵を描き始めて初めて、『そうじゃない環境』で行った個展。
今までは全て自分一人で取り仕切ってきたので、どこまでギャラリーに任せて、どこまで自分の意見を言えばよいのか、勝手がまったく分からず、迷うこと・躊躇することだらけでした。

そういう事情から、今回最大の反省点は、ギャラリーさんとの意志疎通が、ちゃんと出来なかったこと。

こんなことを言ったら、
「わがままだと思われるんじゃないか?」
「ギャラリーさんを信用していないと思われるんじゃないか?」
「この人はダメだと見限られるんじゃないか?」
「個展は取りやめになるんじゃないか?」

・・・取り越し苦労から、かえって伝えるべきこと、確認するべきことが、伝えられず、確認も取れないまま、搬入の日を迎えてしまった、と。
細かい話はここに書くべきではないので省略しますが、反省することだらけの個展でした。

その中で、私自身が考えても間違い無く問題だと思ったのは、近作の作品レベルが、過去作品を下回っていること。今回の問題の原因は、そもそもそこにありました。はっきり言うと、
NY個展の出品作品>東京個展の出品作品>京都個展の新作
で、あったこと。
(逆に言うと、過去作品を上回るベスト作品をずらっと揃えていれば、意志疎通など多少うまくいかなくても、何の問題も無かった。)

今回の京都個展は、去年の東京で発表した作品が主になることは、ギャラリーさん側に伝えていました。そしてそれ以外に新作を描いてプラスする予定でいたのですが、、、
この新作がうまく行かなかった。
なぜうまく行かなかったかというと、制作のある過程で、描くのを失敗してしまったから。
「しまった!」と思った時には、もう修正する時間がありませんでした。いつもなら、「これは失敗した」と自分で分かっていても、『それでも、今の私のレベルはこれなんだから、隠してもしょうがない。』と、展覧会場に展示していたのですが、今回は、私の一存で決められる展覧会ではありません。
プロ作家の作品を展示する企画のギャラリーさんには、『あるレベル以上の作品を展示する責任とプライド』というものがあるのです。
今回の私の新作その他は、そのレベルに達していなかった、ということです。

言い訳はありません。その通りです。
 
 
●なぜ作品のレベルが下がったのか

『時間不足』
これに尽きます。

かつて某所で「個展をするには2〜3年準備期間が要ります。」と発言して、「そんな悠長なことじゃダメですよ!」と言われたことがありました。
「そうなのかな?」「私でも、やれば短い期間で作品を描けるのかな?」と思い、ここ数年、展覧会と展覧会の間のインターバルを、意識的に短くしてきました(NY-東京=1年半、東京-京都=1年)が、それが綺麗に裏目に出ました。
NYの個展とその前の大阪の個展の間は、2年半開いています。NYの個展とその作品が良かったとすれば、じっくり時間をかけて準備をしたからです。
NYで展示したメインの油彩作品は、途中失敗を修正しながら、1点完成させるのに1年以上かけていました。私はそれくらいやらないと、ちゃんとしたものは描けないんです。効率よくスイスイと作品が描けないこと。制作に異常に時間がかかること。これは私の欠点です。
それを矯正しようとやってみたのですが、失敗しました。

これからはちゃんと時間を取って、納得がいくまで描いた作品だけ展示していこうと、今回本当に思いました。そうすれば、色々取り越し苦労をせずとも、期待して展覧会を開いてくださるギャラリーさんへの責任を、自然と果たすことが出来るし、自分でも納得のいく良い展覧会にすることが出来るでしょう。自分が作家として果たすべき役割は、良い作品を制作することのみです。良い作品以上に、多くを語るものはありません。
 
 
●見てくださった方の反応
 
見てくださった方の反応は、概して良かったのではないかと思います。会期が6月だったということで、来月には蓮の季節が来ます。蓮の花が好きな方は大勢いらっしゃることが、京都でも確認できました。
 
そして、細かい注意点を指摘される方が、去年の東京の時より格段に多かったです。水面に映る影の濃さ、花や茎の形状のこと、毛の先くらいの筆の流れのこと、、、とにかくおっしゃることが細かかった!これは、繊細な伝統的美術工芸に携わる職人さんが多く、また、一般の方でもそういう工芸品を目にする機会が多い、京都という土地柄故なのでしょうか???
(ちょっと重箱の隅的なものも感じてしまったのですが・・・そんなこと言ってはいけないんでしょうね!)
しかし、見に来られた方から作品について批判されるということは、本当はプロ作家にはあるまじきことであって、こういうことは無くて当然と考えた方がよいらしいです。「まだまだですね。」と言われてしまいました。その通りなので、言い訳できません。(曰く『企画画廊で"発表会"はあり得ない。プロ作品による真剣勝負のみ。』)
 
あとは、京都で発行されている主だった新聞ほぼ全部で、DMの写真入りで展覧会が紹介されたそうなので、そういう点では、反応はよかったと言えると思います。(これは新聞社の方がちゃんと会場に見に来られて、ピックアップしてくださいました。)
 
 
●地元の方が喜んでくれました
 
関西で最後に行った個展は2004年だったので、それから5年間、地元関西の方にはほとんど作品を見ていただく機会がありませんでした。その意味で今回の京都個展は、地元の知り合いの方が喜んでくださいました。5年前に見ていただけなかった方には、「やっと小松さんの絵を見られるわー!」と言っていただいて、嬉しかったです。
 
 
●買われて、買って・・・
 
そして、作品を購入して下さった方、ありがとうございました。
いくらなんでも、要らない絵を買う方はいないと思うので、気に入って下さったのだと信じています。ありがとうございます。
 
そして実は、自分の作品が売れて手元に入ったお金は、もう使ってしまいました。人の作品を買ったんです。なぜかというと、5年前の自分の個展で友人が作品を買ってくれたことがあり、それが本当に嬉しかったからです。これはお返しするチャンス!と思い、初めて「作品を買う」ということをやってみました。作品を売ったお金で作品を買う。なんて清々しい!よいお金の使い方をしました。
作品を購入して下さった方、ありがとうございました。
 
 
 
 
・・・ということで、今回は、『作家として作品を制作し発表していくとはどういうことか?』について、勉強になることだらけ!の、非常に内容の濃い個展でした。
この経験を生かし、今まで以上の自分のベストの個展を、次はお見せしようと誓いました。
 
次、「これは・・・すごい!」と絶句していただけるような個展をやります。
2年後をお楽しみに!



ギャラリー白川 2009年個展 Top
 
 
(このサイトのテキスト・画像について、無断転載・転用をお断りします)
copyright(C)Junko Komatsu 2009 All rights reserved