-ベジャール・バレエ団公式HPへ-

2002年4月24日 大阪公演を見てきました!

Maurice Be'jart + Be'jart Ballet Lausanne
モーリス・ベジャール&ベジャール・バレエ団
「Enfan Roi」
(邦題:「少年王」)
「TANGO」(「タンゴ」)「JUAN Y TERESA」(「ホアンとテレサ」)


「Enfan Roi」
初演:2000年6月(France ヴェルサイユ王室オペラ劇場)
振付:モーリス・ベジャール
音楽:モーツァルト、ル・バール
衣装:アトリエ・ヴェルサーチ

 この作品はパリ・ヴェルサイユ博物館からの委嘱により制作され、
ヴェルサイユ宮殿を造った3人のルイ13〜15世をテーマにしています。
3人のルイ王はいずれも幼少のうちに即位しており、
加えて音楽の「神童」モーツァルトの音楽を使っています。
舞台はルイ14世が書き残した「ヴェルサイユの最大の楽しみ方」という文章と、
同時代のフランスの作家達のテキストの朗読により進行され、
華やかな宮廷生活を描いていきます。



 モーリス・ベジャールの「Enfan Roi(少年王)他」2002年4月24日大阪公演を見てきました。2002年3月25日(月)の「つれづれのツボ」にも書いたように、このチケットはプレゼントに応募してペアで当てました。「少年王」か「バレエ・フォー・ライフ」のどちらかプレゼントということでしたが、すでに「バレエ・フォー・ライフ」のチケットを買っていた私はダメモトで「できれば"少年王"を・・。"バレエ・フォー・ライフ"はもう持っているので。」と書き添えたらその通りに送ってきてくれました。なんてあつかましいんだ!!(..;)


 『Enfan Roi』(少年王)

 この作品はほとんど予備知識無しで見ました。テキストの朗読によって舞台が進行して行くということは知っていましたが、本当にそうでした。(「ベジャールのくるみ割り人形」も似た構造の作品ですね。でも私は「少年王」の方が良いと思いました。)こういうのが近年のベジャール氏の作風らしいです。
朗読の合間にはバレエが入り、歌手も出てきて歌を歌います。バレエやオペラの草創期はこんな感じだったのかしらん?と思いました。使われている音楽もクラシック、ヒップホップ、子供の声のサンプリング、様々です。色んな表現形式が混在しています。これをベジャール氏のマンネリと見るか、それともいかにもベジャールらしい!と見るか?(フランスではやはり評価されたようです。)
 狂言回しであるナレーターはジル・ロマン。(この方は俳優としても何本か映画に出ているようですが、語り口調が独特でした。舞台的というか、読み聞かせ的というか。)ルイ14世のイメージ(3人で演じる)のひとりがジュリアン・ファヴロウ。まさに「少年王」という若さにあふれ、生き生きしていました。
 ベジャール氏の振付はもともとそうなのかもしれませんが、この作品はよく動きが止まります。それも音楽が盛り上がっている所でぴたっと止めることがよくある。抑制的という印象があります。音楽をそのままなぞって振り付けているのではない感じです。彼が考える彼なりの「間」というものなのかもしれません。それから、絵画的なポーズが随所に見られて「あ!あれはボッティチェリの三美神!」「あ!あれはマチスのロンド!」「ベルギー象徴派!」と絵が動いているように見えました。こういう引用はベジャール氏はとてもお得意なようですね。
 これ以外に印象に残ったのは、衣装と舞台セットの美しさ。と言っても全然華美ではなく、そっけないくらいのセットなのですが、上演中ずっと浮かんでいる青い空の白い雲は美しい!衣装も宮廷が舞台ということで、きらびやかな衣装に身を包んだダンサー達は新鮮でした。(前日の「Ballet for Life」が体操服的な衣装だったので。いえ。あの衣装、私は大好きですけどね!)

 個人的な感想としては、この作品ではジル・ロマンが語りばかりでちっとも踊ってくれないのでやや不満が残りました。もちろんあの語りは適役だと思いますが。。


『タンゴ』

 「少年王」に先だって上演された小品2本のうちの1本目。
 小林十市(仏語上手でした!!)が主人公を演じました。この作品ではベジャール氏自身も踊りました。役柄は「モーリス・ベジャール本人」と思われます。この作品は「少年王」とは違ってベジャール氏の個人的な思いを作品化したものでしょう。ダンサーによって語られるテキストは、恐らくゲーテのもの。音楽はすべてタンゴです。3人一組で踊る場面も多いです。私は小林十市とイゴール・ピオヴァノによる「タンゴ・ファウスト」(二番目のダンス)が良いと思いました。そして最後にベジャール氏のセリフがあるのですが、ここだけ何故かベジャール氏の声であらかじめ録音されていた日本語のテープが流れました。(最初、何を言ってるのか解らなかった。日本語であるということすら。)会場も一瞬空気が変わり、最後に来ていきなり「膝カックン」された気分でした。ここで笑ったらあかん・・と必死に耐えつつ。


『ホアンとテレサ』

 「少年王」に先だって上演された小品2本のうちの2本目。
 ジル・ロマンとエリザベット・ロスによるダンス。これは素晴らしかったです!ふたりがそれぞれサント=テレーズ・ダヴィラ、サン=ジャン・ド・ラ・クロワ(キリスト教の殉教者か?スペインの聖人か?ああ!誰なんだこの人達は!!)に扮します。どうやらスペインが舞台になっていることは確か。音楽がそうだから。衣装も赤土を思わせるバーント・シエナ色でした。ジル・ロマンも良かったけど、エリザベット・ロスがそれ以上に良かった。力一杯舞台を駆け回り激情をほとばしらせるかと思えば、手だけでパントマイムのように静かに踊ったり(ああ!水の音で踊るあの部分はとても良かった!)、見応えがありました。
 (しかしここでまた個人的な希望を言うと、やっぱりジル・ロマンはソロで踊って欲しい!!絶対その方が生き生きしてるし、魅力全開間違い無し!!)


CLOSE
(このウィンドウを閉じると前のページに戻ります。)