cinema    映画この1本!!

  私「J」が劇場・ビデオ・テレビなどで見た映画について書いています。
 見たい映画しか見ないので、偏った選択になることはご容赦ください。
 ジャンルもバラバラです。


CINEMA 番外編  DVD「HEDWIG AND THE ANGRY INCH」
           (ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ)
+ドキュメンタリー
  「WHETHER YOU LIKE IT OR NOT
            /THE STORY OF HEDWIG」

            (好き嫌いはともかく)

2001年/アメリカ  監督/脚本/主演/ジョン・キャメロン・ミッチェル
   作詞・作曲/スティーヴン・トラスク
       出演/マイケル・ピット/ミリアム・ショア/
   スティーヴン・トラスク/
     アンドレア・マーティン 他。


 ☆☆☆☆☆ドキュメンタリー含めて五つ☆満点!!当然バカ度も文句なし!

 2002年9月5日発売です。買いましたよー。もちろんです!!『ヘドウィグのDVD買ってん!』とやっさんに言うと、「そんなに好きなん!?」と感心されてしまいました。映画館の大音響で聴くのとパソコンのしょぼいスピーカーで聴くのとは音が全然ちがうけど、でもいいの。『私の手元にヘドウィグがある!いつでも見られる!!』という事実が嬉しいという...コレクターとかマニアとかファンとかいうものはそういうもんですよね。

hedwig-box BOXを開くとこうなる→hedwig-inside
 ドキュメンタリーも良いです!!この映画はもともとゲイの人々が集まる小さなショー・パブで始まった舞台(と言うよりもやはり「ショー」)から発展した作品なので、その発展の途中が見られるドキュメンタリーは貴重!!第一回目のパブでのショーの様子もビデオ撮影されていて、それも見ることができます。映画になるまでにかなりの変遷と時間を経ていることがわかります。逆に言うと、練り上げるための十分な年月があったからこそ今この映画が存在すると言ってもいい。スタッフ・ファンも含めてまだパブのステージ・ショーだった時代から関わってきた人々の多くが、映画の制作にも関わっています。すべての過程が不可欠であったのだという事実!!益々好きになってしまいました。
 後日談として、ヘドウィグの舞台版がジョン・キャメロン・ミッチェルらオリジナル・メンバー以外のキャストで世界各地で再演されていることも伝えられ、「色んなヘドウィグがあっていい」し、それぞれのヘドウィグの中に観客は自分自身を見出している。というジョン・キャメロン・ミッチェルの言葉があります。
 それにしても、ジョン・キャメロン・ミッチェルはチャーミングです。すっごいチャーミングです。可愛いです。もう30代後半なのに!ナイーブを絵に描いて音を付けたような顔と声と話し方。ジョンはゲイなんですが、実は彼の顔や表情や声のトーンはゲイ特有のものだと私は思うのです。それはゲイの人々の良い部分の表現だと思います。ルー・リード、フレディー・マーキュリーの若い頃にも共通する部分が有り、ゲイと言うよりも両性具有と言った方がイメージ的には近いと思います。社会的には男でも女でもないと見られている彼らは、ひどく傷つけられることも多い分、繊細にならざるを得ないのでしょう。そういうところから芸術表現が生まれることもまた真実なのです。ゲイの人には優れた表現者が本当に多い!!

 ところで今回DVDで映画をもう一度見てみると(映画館では1度見たきりでした。)、ナゼ私がこの作品をこんなにも好きなのか?その理由がだんだん明らかになってきました。私には好きな映画の「要素」というのがかなりはっきりとあって、この「HEDWIG AND THE ANGRY INCH」はその要素をかなりの割合で含んでいるのです。
   ・人の成長物語である。
   ・主人公は夢を持っている。
   ・主人公は男女の性差で人を分け隔てしない。自分自身に対してもそう。
   ・現実の歴史的、社会的出来事と主人公(例え架空であっても)の人生が強いかかわりを持っている。
   ・時代背景を描くために本物のドキュメンタリー・フィルムが使用されている。
   ・音楽そのものが良い。音楽がストーリーに深く関係している。
   ・ビジュアル面に独特の強いこだわりが見え、美術や衣装に凝っている。
   ・主人公はけっこう悩んだり落ち込んだりする。
   ・でも主人公は途中へこたれても報われなくても、最後は前向きに生きていく。
   ・登場人物すべてに存在理由がある。無駄な人が出てこない。
   ・必ずしも時間空間に沿って話が展開しない。ポンポンと時間や空間が飛ぶ。
   ・ストーリーや人物設定がかなり荒唐無稽。
   ・ラストは主人公の死とか、主人公の結婚で終わるのではなく、未来を予感させる「つづく」のような終わり方をする。
以上の要素が満たされていれば、かなりの確率で私は「良い映画やぁ〜〜〜!!(T^T)」と感激するのです。私って単純ばか!?
「ギルバート・グレイプ」や一連のテリー・ギリアム作品もこれらの要素を多分に含んでいると思うのです。ああ!これはQUEENにも言えるかも...あんなに荒唐無稽でビジュアルに執着してるやん!フレディ〜!!

 ということで、DVDで見直しても揺るがない圧倒的評価!!の「HEDWIG AND THE ANGRY INCH」なのでした。ROCK嫌いな人、ゲイ嫌いな人、ミュージカル嫌いな人、アメリカ映画嫌いな人(ハイッ(^-^)/ 実は私もなんです!)、もう一度言うわね。
騙されたと思って見てみてね!!


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