cinema    映画この1本!!

  私「J」が劇場・ビデオ・テレビなどで見た映画について書いています。
 見たい映画しか見ないので、偏った選択になることはご容赦ください。
 ジャンルもバラバラです。


CINEMA7 「カタクリ家の幸福」

2001年/日本 監督/三池崇史
                  出演/沢田研二/松阪慶子/武田真治/
                          西田尚美/忌野清志郎/丹波哲郎 他。

katakuri1☆☆☆☆
 ほとんど予備知識無しで見ました。「アメリ」の次に見るのに時間的場所的にちょうどいい作品・・と思って探したら、「アメリ」と同じ映画館で上映していました。批評の評価もまあまあみたいなので、見てみようかと思いました。

 見てびっくりしたぁ〜〜〜!!!この映画はスゴかったです〜!予想をはるかに超えていました。私が持っていた知識は「沢田研二と松阪慶子が出ている」「どうやらミュージカルらしい」という2点だけ。始まりからして「え?え?え?」です。安っぽいレストランで若い女の子がスープを飲んでいる場面から始まるのですが、すぐにクレイ・アニメになります。このクレイが不気可愛いというか全然可愛くないというか...。天使(?)のような生き物が色んな化け物を食ったり食われたりして転生する場面が10分ほど続いてから、実写の本編に入ります。このクレイ・アニメは途中と終盤にも出てきます。この作品は韓国映画「クワイエット・ファミリー」のリメイクだそうです。(私はこの映画は未見。)

 ではどういうお話かというと...。
「もうすぐ近くに新しい道路ができるから、客が来るよ。」と言われて脱サラした沢田研二とその一家(カタクリ家の人々)が、都心の家を売り払いへんぴな山奥にペンション「白い恋人たち」を建てたのですが、待てど暮らせど客が来ない!!やっと来た客はどいつもこいつも...!!!-中身は普通の芝居半分、歌と踊り半分といったところです。ところがどの出演者もこの歌と踊りがB級!!(沢田研二って、あらためて「歌ヘタやぁ〜」と思いました。でもそれが良い味なんです。)歌い踊り始めたとたんに「うわ〜〜〜(メ-_-)」と思いましたが、それがまた何ともいえず良い味なんですね。みんな一生懸命なんですよ〜。こういう感覚ってダメな人はただ単に「ヘタクソ!」と思ってしまって本当にダメでしょうけど、私はかなりハマりました。安っぽくてキッチュでバカげていて不気可愛い。出ている人達みんな良かったな〜。ああでも、意外なことに西田尚美と忌野清志郎がイマイチでした。特に忌野清志郎は普通に「忌野清志郎」をやってる時の方がよほどキッチュではじけてると思いました。それがこの映画の中では弱かったなー。キャスティング・ミスかもしれません。このお陰で映画のテンションが随分下がったと思う。逆に良かったのが松阪慶子!!この人はスゴイですね〜!この人のほんの一言のセリフで何度も笑いました。脚本にそう書いてあるからとは言え、タイミングとかセリフの吐き方なんかはやっぱりこの人だから出来ることですね。この役にぴったりでした。それと。すっごく残念だったのが、最後に山が噴火してカタクリ一家は家もろとも流されるのですが、流されてどうなってなぜ助かったのか解りづらかったので、あそこをどうにかして欲しかった。終わり方もあれでいいのかなー?と思いました。リメイクだったからいじれなかったのかなー?「クワイエット・ファミリー」を見た方どうでしたか??katakuri2

 全体を通しては少しムラのある出来でしたが、近年稀にみる「B級バカ映画」(=愛情を持ってこう呼びましょう。)として日本では貴重な作品だと思います。ちょっと頭に浮かんだのが「カポネ大いに泣く」(1985年/鈴木清順監督)(こっちにも沢田研二出てます。)です。これも荒唐無稽でキッチュなナンセンス映画で、舞台はアメリカのはずなのにどう見ても日本で撮影されています。こういう「つくりもの」感覚、私は大好きですけどね。でも清順監督が撮るとナゼか「アート」に見えるんですね。かなり確信犯的に、映画の本道をはずれることもなにもかも折り込み済みでアナーキーに作っているからでしょうね。それに比べるとこの三池崇史監督はもっと真面目〜に作ってる感じがしました。もっと「ぼくとつ」というか。きっといい人なんやろうなー、と。

 私が好きな場面は家族が最初の死者を発見する場面と、沢田研二が死体を埋めた場所の目印にジオラマに小さな十字架を立てようとする場面と、「お父さんおれが!(自主するよ)」と男性3人が主張し合う場面。口開けて半分笑いながらあきれて見てしまいました。バカバカしぃぃぃ〜〜〜!!!!!きっとほとんどの人はこの映画見てないですよね?是非見て下さい!!欧米のふやけたアイドル恋愛映画(「ジョー・ブラックによろしく」みたいなヤツとか!)を1800円払って見に行くなら、これを見て笑った方がなんぼか得した気分になりますよ!!


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