FREDDIE MERCURY PHOTO & TEXT BOOK
2000/11/22(JP)Released (Box Set)
「MR. BAD GUY」
「BARCELONA」
「THE GREAT PRETENDER」
「THE SINGLES 1973-1985」
「THE SINGLES 1986-1993」
「THE INSTRUMENTALES」
「RARITIES 1」
「RARITIES 2」
「RARITIES 3」
「THE DAVID WIGG INTERVIEWS」
「THE VIDEO COLLECTION」
「THE UNTOLD SUTORY」
「FREDDIE MERCURY BY SEAN O'HAGAN」
「THE PHOTOGRAPHY」
「THE LYRICS」
「DISCOGRAPHY」
「PRE-QUEEN LIVE PERFORMANCES」
「INDEX OF CD TRACKS」
「CREDITS」

「FREDDIE MERCURY PHOTO & TEXT BOOK」について。
 この本はブライアン・メイの序文に始まり、このBOX SETに収録されている全CD/DVD解説、グレッグ・ブルックスによるフレディー・マーキュリー概論とも言えるテキスト、フレディー誕生からその最後の日々に至るたくさんの公私における写真、ディスコグラフィー、「GREEN」を除くすべてのオリジナル曲の歌詞、で構成されています。

 中でも幼少期からロック・スターの座に上り詰めて行くまでの写真が興味深いです。フレディー・マーキュリーは旧英国統治領であるザンジバル島の、裕福なペルシャ人(元の国籍はインドなのでインド人)のパルシー教徒の家に生まれました。その儀式の時の写真などもあります。寄宿学校時代の写真ではでっかい歯をむき出しにしています。勉強もスポーツも出来て音楽と美術にも秀でていたようで、学校ではちょっとしたスターだったようです。そこからザンジバルの独立運動に伴う政情不安を避けるため、フレディーの一家は英国・ロンドンへ移り住み、英国籍を取得します。大学受験資格を持っていなかったフレディーは、まず梱包工場で働きお金を貯めて、工芸専門学校へ通い、大学受験資格を得てイーリング・カレッジ・オブ・アートという美術大学に進学しました。この美術大学に入学するまでの写真がほとんど載っていません。恐らく不本意な仕事と大学に行くための予備段階という中途半端な時代で、本人にとっては最も受け入れたくない時代だったのでしょう。ここにはイーリング美術大学当時のデッサンやデザイン画も載っています。「彼は何でもスケッチしてたっけ。」と後にブライアンが語っているとおり学業には熱心に取り組んでいたようで、きちんと描いたデッサンはかなり上手です。自分の好きなスターを描くのが好きだったらしく、ジミ・ヘンドリックスのデッサンは数十枚も残っているそうです。最初はグラフィックのクラスを取っていたのが、途中でファッションに変えたということで、特に服のデザイン画には当時の流行が見てとれます。大学時代のあとはすぐ初期QUEENへと突入して行きます。初期は目張りを入れてエジプトの女王様みたいで衣装もヒラヒラですが、時代が進むにつれてゲイ・マッチョに変化して行きます。でも髪型や服装が変わっても、実は顔そのものはそんなに変わっていません。ただ、目つきだけがだんだん柔和になって、繊細な目に変わって行くんです。眉毛もつり上がっていたのが、だんだん下に降りてきて可哀相にさえ見える表情になってきます。「子犬の目」と言ったファンの方がありますが、そのとおりです。
 あと興味深いのはごく内輪の本当に仲の良い友人達との写真です。最後の恋人だったジム・ハットン氏との写真もあります。フレディーは公にも家族に対してもゲイである事実を最後まで宣言しなかったので、こういう写真が公開されることを本人が望んだかどうかは難しいところです。生きていれば、またはもっと歳をとって大往生を遂げていたなら絶対に公表されることは無かったでしょう。

 この本で可笑しいのは、ブライアン・メイがところどころにコメントと共に秘蔵写真を提供していること。しかもフレディーしか写っていない写真もなぜか彼のコレクションで、「これは好きな写真だ。」とか言いながら紹介しています。QUEENの人間関係というのは、他の3人が単に「フレディーのファン」だったんじゃ!?と思わせる事が時々あって、4人の中で彼ひとりだけが一目置かれていたことは確実でしょう。


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