cinema    映画この1本!!

  私「J」が劇場・ビデオ・テレビなどで見た映画について書いています。
 見たい映画しか見ないので、偏った選択になることはご容赦ください。
 ジャンルもバラバラです。


CINEMA10 「MULHOLLAND DRIVE」
     (マルホランド・ドライヴ)  
2000年/アメリカ・フランス  監督/脚本/デイヴィッド・リンチ
                        出演/ナオミ・ワッツ/ローラ・エレナ・ハリング 他。

 ☆☆☆mulholland
 いや〜!こんな人が世の中にいていいんでしょうか!?
この方が一般人ではなく映画監督になってくれたおかげで、世界は救われたかも...!?
というワケで、反則技ですが作品そのものというよりも、デイヴィッド・リンチ監督本人に『2000ヘンタイ(変態)』を授与いたします。

 たいがいどんな映画でもびっくりせずに見る私なのですが、今回はちょっと驚きました。今までデイヴィッド・リンチ監督の作品は1本も見たことがありませんでした。この映画も予備知識ゼロで見に行きました。
 誰かこれ、見ましたか?見てどうでした???話があるようで無い。何かとんでもないことが起こりそうで、起こらない。見ている私達には何の説明も無いまま、物事の起きる『過程』や『理由』をすっ飛ばして、何もかもが『すべて既成の事実』として映画は進行して行く.....え?『進行していく』?いやいや。進行すらしてないかも。全く違う人物を同じ俳優が演じてそのエピソードをランダムに配置しただけ!?ああ???解らない〜〜!!!ただはっきりと解るのはリンチ監督の作り出さんとした『空気感』。(リンチ・ファンの皆さんはこの芯から冷え冷えするような恐怖の『空気』がたまらないんですね、きっと!!)これはお見事としか言いようのない表現力です。『主人公の目』になってずるずると動き回るカメラ!まとわりつくような冷たい霧のような『映像』!映像と映像を繋ぐ『間』!一見ミスマッチとも思える『音楽』!(リンチ監督はノーテンキなアメリカのオールディーズを使用してます。これがまた異様にコワイ!!。。゛(ノ><)ノ )あと、『ツイン・ピークス』(リンチ監督のテレビ・シリーズ・ドラマ。私は一度も見たことがない。)でも話題になっていた、次々と繰り出されるドラマの核心につながるか!?と思わせる伏線と、謎に満ちた人物や場所、小道具の数々。「うっ!!これは!?」と匂わせはするものの、結局核心のまわりをグルグルと回り続けているだけ...。この永遠の堂々巡り状態にずぶずぶとハマッた人だけが、リンチ・フリークになれるのでしょう。
主演の女優ふたりがいつしかレズ関係になっていくところは「そこまでやるかー」とちょっと笑いましたが、これも後に続く話に関連してくるのでまあいいかな。

 まー。とにかく驚きました。この映画はカンヌで最優秀監督賞を取ってますね。さすがは斜に構えたカンヌ!!米国アカデミー賞にもノミネートはされたけど、受賞はしなかった模様。そらそうでしょう。清く正しいアメリカ人がこういう映画に賞を与えるはずがありません。でもアメリカ人なんですよねぇ、デイヴィッド・リンチ。はぁ〜〜〜〜。個人的には好きな映画じゃありません。『ひたすら堂々巡りを繰り返す恐怖』をわざわざお金払って体験しに行く趣味は私には無いので。(テーマ・パークにも興味無いのはそのせいか!?「永遠に夢の世界!」なんて、どう考えたって...だって、普通に生活してる方がもっとずっと『いまここにある恐怖やお楽しみ』に溢れているもの!!)でも、デイヴィッド・リンチがなぜ高い評価を受け熱狂的なファンを抱えているのか、その理由は今回よ〜く解りました。一度は体験しておいて悪くない感覚です。まだ見てない人は是非どうぞ!!


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