HOT SPACE
1982/5/21(UK)Released
1.STAYING POWER
2.DANCER
3.BACK CHAT
4.BODY LANGUAGE
5.ACTION THIS DAY
6.PUT OUT THE FIRE
7.LIFE IS REAL(SONG FOR LENNON)
8.CALLING ALL GIRLS
9.LAS PALABRAS DE AMOR
  (THE WORDS OF LOVE)
10.COOL CAT
11.UNDER PRESSURE

アルバム「HOT SPACE」について。
 遂にこのアルバムの番が来てしまった...。多くのQUEENファンが未だにとまどいを隠せない。ほとんど聴かないとまで言う人もある。問題のアルバムです。しかし気合いを入れて書くことにいたしましょう。えいっ!

 またまた出ました、フレディー先生によるジャケット・コンセプトです。今回のテーマは「髪型」。で、この前2枚が黒っぽいジャケットだったので、今度は目立つ明るいものに、という考えからこの4色の派手派手ジャケットになりました。「THE GAME」アルバムの解説でも書いたように、この当時ジョン・ディーコンとフレディー・マーキュリーがファンク、ダンス・ミュージックに激しく傾倒しており、「何がQUEENにとってふさわしいか!?」を巡ってバンドの他のメンバーとの間で意見の衝突が起きていたようです。しかしフレディーとジョンの主張に対して、他のメンバーはそれを越える斬新なアイディアを提示することが出来なかったらしく、結局この路線でニュー・アルバムが作られることになりました。フレディーは実際毎晩のようにディスコやクラブに出入りしており、「今や時代はダンス・ミュージックだ!」と確信を持っていたのでしょう。とにかく彼らの間では「売れれば問題なし!」というのが不文律だったので、本当に売れたら何の問題も無い「いつものQUEENのヒット・アルバム」になるはずでした。が、結果的にこのアルバムはセールスとして失敗に終わり、「お前が悪い!」「いや、お前が悪い!」という決定的な内紛状態をバンド内に引き起こすことになりました。(それプラス、それまでにくすぶっていた売り上げの取り分とか、誰の曲をシングルやアルバムに入れるかについての争いが、下地としてあったことも付け加えておきます。)
 さて内紛についてはこのくらいにして、内容なんですけど。1.のLIVE VIDEOを見たことがあるのですが、多少ロック調にアレンジしてありましたが、出来としてはかなり良く、ステージ映えのする曲ではありました。しかし当時全盛期だったマイケル・ジャクソンのようなダンスの達者なアーティストなら、踊りながら歌うスタイルで場を盛り上げるんでしょうが、キメのアクションは時々しますが、フレディーは基本的に踊れません。正直VIDEOを見て「変!」と思いました。アクションのノリと楽曲のノリがちぐはぐだったんです。「似合わない」ということです。でもヴィジュアル無しで音だけ聴くなら、ダンス・ミュージックに挑戦したこと自体はそう悪いとは思えないんですよね。好き嫌いは別にして。では私が納得できない理由は何かと言いますと、「徹底してな〜〜〜い!!」ということです。1.〜5.で新基軸を打ち出してびっくりさせておきながら、6.7.でまた元のQUEENに戻っちゃうんですよ。7.は突然、前年射殺されたJOHN LENNONに曲を捧げてるし(曲自体は良いんですよ。)、9.ではいきなり、フレディーの歌い上げるナルシス感たっぷりのゴージャスなバラードが始まるし...(もう一度言いますが、曲自体は良いんですってば!)。最後はDAVID BOWIEとのコラボレーションのポップなヒット曲。聴いてる方にしたら、「どうしたらいいの!!」という感じです。フレディーとジョンの、時代を見る目は正しかったけれど、やっぱり中途半端にやったからダメだったと言えるんじゃないでしょうか。メンバー間の不完全燃焼が原因なんでしょうね。もっと徹底的にやればよかったのにね。
 でもフレディーだけは後になってもこのアルバムのことを擁護し、「我々は間違ってはいなかった。」と最後まで言い続けたそうです。このアルバムのセールス面での失敗は結局彼ら最大の挫折となり、以前から言われていた解散説がまことしやかに流れるようになりました。そして翌'83年、QUEENは完全OFFの年として活動を一旦休止することになります。

 初めて聴く方へ。QUEENとしてはかなりの異色作ということで、変わったもんが聴きたい方はトライしてください。でもここから入る人があっても面白いかもね!!そういう人は初期のきらびやかなアルバムを聴いたらどう思うのかしらん...☆☆。


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