NEWS OF THE WORLD
1977/10/28(UK)Released
1.WE WILL ROCK YOU
2.WE ARE THE CHAMPIONS
3.SHEER HEART ATTACK
4.ALL DEAD, ALL DEAD
5.SPREAD YOUR WINGS
6.FIGHT FROM THE INSIDE
7.GET DOWN , MAKE LOVE
8.SLEEPING ON THE SIDEWALK
9.WHO NEEDS YOU
10.IT'S LATE
11.MY MELANCHOLY BLUES

アルバム「NEWS OF THE WORLD」について。
(邦題:「世界に捧ぐ」)
 今回のジャケットはロジャー・テイラーが見つけてきたB級SF本の表紙をヒントにつくられたオリジナル漫画です。メンバー4人が巨大ロボットによって虐殺されているのですが、その顔がだれ一人として似ていないのがご愛敬...!?
 何と言ってもこのアルバムは最初の2曲でしょう。この2曲でQUEENは世界中にさらに多くの新たな観客を獲得し、前作"Races..."までのファンの一部を失いました。1.はスタジアムやスポーツ番組には欠かせない曲になってしまいましたね。2.はQUEENライヴのトリを飾る曲として、この後もずっと歌い継がれて行くことになりました。(これも暇な方は歌詞を読んでみてください。「傲慢!」「自己憐憫!」「ナルシスト!」こういう言葉はもはやQUEENに対しては讃辞なのかもしれません。この曲のように、ピアノのバラード風に静かに始まって、途中いきなり声も楽器も総動員でどっか〜ん!と爆発的に盛り上がる曲には名曲が多い様です。例えば"Bohemian Rhapsody"、"Somebody To Love"など。)4.はブライアン・メイの曲で、タイトルも神経質で心配性の彼らしいですね..。5.はジョン・ディーコンの曲で、彼の歌詞の特徴は一人称が出てこないことでしょうか...自己顕示欲がないということ?QUEENにしてはアクの無い良い曲で、フレディーが気持ちよさそうに歌っています。7.は「うわ〜、いやらしぃ〜!」と思いますが、ライヴではすごく映える曲のようです。9.10.11. の流れは良いですね。11.はとってもとっても良い曲ですが、ライヴで歌うには難しかったようです。メロディがめっちゃアクロバティックですもんね。難しいわこりゃ。
 このアルバムで特徴的なのは、私の「BEST OF QUEEN」である"SHEER HEART ATTACK"アルバムの頃のロックテイストが戻ってきていることでしょう。(このアルバムには"SHEER HEART ATTACK"という曲がありますが、これは同名のアルバムとの関連は特に無いようです。)その代わりに重厚なコーラスが影をひそめ、よりシンプルでハードな印象になっています。ライヴをする会場がどんどん大きくなり、以前のように細かい作業を積み重ねて緻密に曲を作るよりも、ライヴで再現可能な楽曲を...という判断が働き始めたのかもしれません。このあと彼らはアメリカに本格進出して行くのですが、そのこととも無関係ではないでしょう。しかしながら、この当時はまだフレディーは長髪にレオタードでステージに立っており、「過渡期」に突入して行く最初の時期だったと言えます。
1.と2.が入っているということだけでも、この"NEWS OF THE WORLD"は聴いてみていいと思います。特に初期のドラマチックなQUEENを知らずに初めてQUEENを聴く人には良いと思います。みんなが一番良く知っているQUEENサウンドなので、抵抗無く聴けるはずです。これを聴いてから初期に戻るのもまた良し、です。

(アルバムとは直接関係ありませんがこの年、QUEENは二度に渡るマーネージメント関連のトラブルにへきえきし、とうとう自分達で音楽プロダクションを設立。その後音楽出版社、映像管理会社も設立し、以降自分達の音楽と映像を自分達自身で管理して行きます。今でもQUEENの楽曲の使用料やCDの売り上げはQUEEN PRODUCTIONやQUEEN MUSIC、QUEEN FILMSといった会社に入っているのです。フレディーもMERCURY MUSICという自分の音楽出版社を持っています。QUEENにはレコード会社が勝手にセレクトしたような正規の企画アルバムがありません。彼らの楽曲は彼ら自身の許可無くしては誰も動かせないし、どこかでそのようなものを見かけたとしたら、それは彼ら自身が許可したということです。インテリ集団とか汗の匂いのしないロックバンドとか呼ばれていましたが、全員が「会社の重役さん」でもあるという不思議なバンドなわけです。)


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