SAUCE

[ソ] ソース
ソースの用意 ソース。肉や魚料理にかけるとろりとした褐色の液体。ここには旨味のエキスが凝縮されている。肉料理は焼き具合が本質だけれども、ソースの善し悪しがそれを生かしも殺しもする。決して、付け足しではない。ウスターソースを嫌いなわけではないけど、何にでもウスターソースをかける神経とは絶対仲良くなりたくないと思うのです。

ソースは時には、肉を焼いて、その旨味がフライパンに残るところを、その旨味や香りを別のもの(スープ)にのせて、肉の上にもう一度合わせるものです。大切なことはスピード感。これが私の一番不得意なところです。肉を焼いた後のフライパンに、タマネギのみじん切りをのせてさっと炒め、このタマネギに味や風味、香りを移します。白ワインを入れてアルコール分を飛ばし、ドミグラスソースと生クリームで仕上げて肉にかける。この間、肉が冷えては台無しです。難しさがお分かりでしょうか。いつも家庭料理をしている方なら、「そんな面倒なこと、できるかい!」と思われているでしょう。実際できません。それより、焼いた肉を早く食卓に並べた方がいいに決まっています。でも、ステキなソースができた日は、「こんな暮らしを求めていたんだ!」とたいそうなことを言いたくなる。それがソースの力です。

では、ドミグラスソースとは何か。この味が料理人の実力そのものと言えるぐらい、実はそれぞれの独特のノウハウがあるのでしょう。まあ、最大公約数的な書き方をすれば、タマネギや人参のみじん切りを油でよく炒め、小麦粉を加えて、焦げ付かないように炒めます。白ワインを加えて固形スープをとかし、にんにくとブーケガルニを足します。あとはトマトピューレで整えれば(あまり煮詰めてくどくならないように)、一応できあがり。こしてやれば完璧です。このソースが見事なめらかに出来上がって、いくらかストックしておけたら、食生活変わりますよ。こんなことでも、我が家が森になっていくように思うのは、私が単なる食いしんぼうだからでしょうか。

ソースのことなんか書き出したらキリがありません。シーフードカレーのルー商品に「フュメ・ド・ポアソン」というスープをうたったものがありましたが、あのスープストックも魚料理のソースには万能のパワーを発揮します。カレーのコマーシャルで有名になったらそこらの店で売り出すかも知れませんが、私がフュメ・ド・ポアソンを買うのは、大阪梅田の阪神百貨店の地下、スパイス売場のところです。別に宣伝する義理があるわけじゃないけど、阪神の地下は、スパイスとエスニック食材、いい醤油、それに安くて美味いシャンパンやワインの宝庫であります。



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