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[ス] スパイス

スパイスラック
男の料理、という言葉が嫌いです。いかにも気分だけで休日に作って散らかして、奥さんは楽にならない、高い食材ばかり使う、趣味人のウンチク臭いといった嫌なイメージばかりあります。そういうのでなく、日常的に男性が料理するとしたら男性的・女性的という料理の違いみたいなものがやっとほんとに出てくるんじゃないかな。

まあそうした中で、スパイスっていうのは男の料理アイテムだと思います。女性のスパイスレシピは安定する方に向かうけれど、男性のスパイスレシピは、常に化学実験遊び的に変化を求め続けます。安いスーパーでもスパイスコーナーがそれなりに充実してきたから、いろいろ並べて楽しむことができます。

人間が有効に使うことのできる「有用植物」すべてのことをハーブと呼びます。染料、入浴剤、殺菌、胃薬、媚薬、香料。食だけでなくさまざまな用途があり、それらすべてをハーブというのです。これのうち、医食同源のアジア・中国やインドで発達・完成されたものをスパイスと呼び慣わしているように思います。中世末の大航海時代がアジアの香辛料を求めて起こったことは歴史上有名です。香辛料と呼べそうな食材をスパイスと呼び、お茶にしそうなものをハーブと呼ぶ人もいます。いろんな文化的ルーツの人が同じ言葉を使うのでややこしいですが。

それはともかく、今我が家のキッチンのスパイスラックにあるものを列記してみましょう。

・ブラックペパー こしょう。万能選手。
・ホワイトペパー いわゆるテーブルペパー。私はブラックペパーファンなのであまり減りません。
・ローリエ 月桂樹の葉。肉や魚を煮るならとにかくちぎって1、2枚いれときましょう。優勝者に月桂冠を捧げるのと、スパイスとしての使い方は全く同じ意味を持っていると思います。ハーブというのがいかに広い意味を持つものか、分かります。
・コリアンダー カレーに入れると妻に不評なので、最近使用を控えています。
・スターアニス 中華で使ういわゆる八角。これを炒めた油を使って、あとで出てくるウーシャンフェンを使えば、何を炒めても中華になるからすごい。
・クローブ タマネギのみじん切りをたっぷり炒めたら、これを思いっきり入れて、肉を加えてください。中国名は丁字。
・バジル シンプルパスタならこれにおまかせ。スープ仕立てにしてどっさりこれを入れると、完成です。
・パセリ ここから4つは私の大好きなサイモン&ガーファンクルの曲「スカボローフェア」の歌詞になっているスパイス。肉に、魚に、代表的なスパイスです。
・セージ マトンや動物の内臓に良い、といえば、これがどんなに強烈な香りを持っているか分かるでしょう。
・ローズマリー 私は鳥肉ならぜったいこれ。手羽元を油をしいたアルミホイルに並べ、ブラックペパーとローズマリーとガーリック。もう一度酒と油をかけてオーブントースターに入れて15分焼きます。大好きな簡単料理。
・タイム 魚の包み焼きなんかにたっぷり使ってみてください。
・カルダモン カレーに欠かせない渋みを持ったスパイス。健胃効果が高いそうで、食後のコーヒーに種を浮かべたりするのは油消しとしていいからだそうです。
・フェネル これもカレーの常連。口臭を消す効果もあるそうですが、これは私にはまだ実感できていません。
・パプリカ サラダにたっぷりかけるのが好き。辛さを抜いたトウガラシなので、風味だけを料理に加えてくれます。煮物にも、この赤さを加えてやると、体が温もり、食欲も増進。
・ジンジャー しょうがです。魚の煮物に少し落としましょう。
・ガーリック うちで一番減るスパイス。もう大活躍です。お客さん来たらうちの家は臭いのかもしれません。
・クミン カレーにどしっとした重量感を与えるのはこのクミン。少し入れて効果をためしたら、みんな驚くはず。
・マスタード 粉としてのマスタードは、いろんな使い方のできる便利もの。ホットドッグだけが出番はないのです。SUBWAYのレシピにあるように、マヨネーズと混ぜておくと、サラダなどにまた面白い使い方ができます。
・チリペッパー 煮物や炒めものに、あまり早く入れすぎると辛さが飛んで、効果が薄れます。火を止めるぎりぎりぐらいのところで、フワッと入れてやると、風味がふわっと広がります。
・粉ワサビ この間、カモ鍋をワサビで食べさせる美味しい店に行きました!(ちなみに大阪市北区南森町の店「かんてき」です) カモのニオイやくどさが消えて、実にさわやかな食後感でした。
・サフラン 言わずと知れたスパイスの王様。花のメシベです。そりゃ大量生産不可能だわな。1瓶は広大な面積の花畑の集約です。高いはずだ。ライスに色と風味をつけたり、ブイヤベースなんかにも使います。
・シナモン パンを焼く前に生地に加えたりお菓子に使うのが有名ですが、肉料理にも微量入れると仕上がり感がふくらみます。
・シナモンスティック コーヒーをかき回すものみたいになってますが、これもひとかけおって、ブーケガルニに使ったりすると、薫製で面白い香りを得られます。
・ターメリック 中国名はうこん。独特の黄色をカレーなどに与えます。はっきり言ってインドの染料ですから、カレーのシミが落ちないわけです。
・オールスパイス こんな名前だけどミックススパイスではありません。いろんなものの香りを合わせ持っているということからのネーミング。肉料理に無難に使いますが、ついその香りの強さをみくびって入れすぎてしまい、失敗することも。香りって足しすぎると引き算不可能になります。
・ナツメグ これも万能選手。甘いものから肉料理まで豊かな風味です。
・オレガノ トマトというと、ひとつ覚えでこれを使ってしまいます。缶のホールトマトをボウルでつぶして、オレガノをたっぷり加えます。スープと合わせてさっと煮て、それだけで食べてみると、トマトとオレガノが合うというのはよく分かります。
・セロリ これも万能。ドレッシングなどに加えたりします。
・ピクリングスパイス スパイスミックスとしては、これ。またキュウリをつけてみよう。
・ウーシャンフェン 中華の決定版スパイスミックス。5つの香りの粉と書くとおり、つんと来たり、丸かったり、いろんな香りが混ざって、中華らしさを醸し出します。

ちなみに、我が家のスパイスラックは、妻が昔使っていた絵の具箱を2つバラして、組み合わせ、棚板と転落止め、携帯用の鎖をつけて作ったものです。絵の具箱だからあんまりきれいじゃないけどね。



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