BACK to the LIGHT
1992/7/(JP)Released
1.THE DARK
2.BACK TO THE LIGHT
3.LOVE TOKEN
4.RESURRECTION
5.TOO MUCH LOVE WILL KILL YOU
6.DRIVEN BY YOU
7.NOTHIN' BUT BLUE
8.I'M SCARED
9.LAST HORIZON
10.LET YOUR HEART RULE YOUR HEAD
11.JUST ONE LIFE
12.ROLLIN' OVER
13.JUST ONE LIFE (GUITAR VERSION)
14.TOO MUCH LOVE WILL KILL YOU (GUITAR VERSION)

アルバム「BACK to the LIGHT」について。
 ギターのブライアン・メイが5年かけてコツコツ作った2枚目のソロ・アルバムです。彼らしいですね〜。とにかくあらゆる事に関して時間のかかる人みたいですね、この人。迷い性で気が弱いとこがあるんでしょうね。顔や表情を見てても何か解る気がします。これを作っている5年の間に近しい3人の人が亡くなったようで、その人々に捧げられています。そのうちのひとりはあの独特のギターを一緒に手作りしてくれた彼のお父さん、もうひとりはフレディー・マーキュリーです。
 アルバムジャケットに色々序文を書いてます。「このアルバムに収録されている曲は、僕の実人生のことを歌っているのではない。」とかなんとか。序文とかコメントとか細かいことするの、苦にならないんですね。そういうの好きなんですね。では内容について。

 「僕はシャウトが出来ないんだよ。シャウトしようとしても、声が続かないんだよねー。」と本人が言う通り、彼のヴォーカルには決定的に弱いところがあります。しかしギタリストにしては歌える!2.良い曲です。QUEENでは演奏出来ないタイプの曲かもしれませんね。フレディーが歌ってるところを想像できないですもん。3.「パパもママも恋してる。別の誰かにね。」え!?これってブライアン、自分のことじゃないの!?4.ど演歌ハード・ロックです。アメリカ〜ン!っていう感じ。5.この曲はフレディーの追悼コンサートでブライアンが歌いました。TOO MUCH LOVE WILL KILL YOUはQUEENのアルバムにも入ってますね。もちろんフレディーのヴォーカルで!どっちが良いかって!?もちろんフレディーの方に決まってます!ヴォーカルの格が違いますね。6.DRIVEN BY YOUがシングル・リリースされたのはフレディー・マーキュリーが亡くなった翌日でした。ブライアン本人はフレディーの病状が末期に近づいていることを知って、なんとかリリースを遅らせようと画策したようですが、それに勘づいたフレディーがブライアンに「ちゃんと出せよ!」とメッセージを送ったそうです。そのお陰で(?)UKチャートの6位まで上がりました。彼らは図ったのではなくても、なぜかこういうシンクロを多く起こします。この曲の後半「Everything I do.〜」のコーラス部分にフレディーによく似た声が聞こえるんですが、気のせいでしょうね?7.ブライアンのうわずった神経質な声で、こういうどん底な歌を歌われると滅入りますね。8.歌詞が傑作です!「動くのがコワイ、じっとしてるのもコワイ、変わるのがコワイ、変わらないのもコワイ、死ぬほどコワイ、でも死ぬのもコワイ!...etc.」どないせぇっちゅーんですかぁ〜?9.ギターのインストです。これを聴くと外国の離島リゾートのCM(そんなもの見たことないのに。)が脳裏に浮かんで来て、なんかむしゃくしゃします。暴れたくなるというか...。(危ないなぁ。曲ではなく私自身に問題があるのか!?)10.QUEENの「'39」(ブライアン作)と同じ「カントリー系」の曲です。「'39」よりももっとカントリー色が濃いです。11.これ絶対にフレディーのことを歌っています。「きみの歌が最高の贈り物だ。それは人々の中に永遠に生き続け、いつの日にも心の支えになるだろう。」なんてストレートなんでしょう!12.ギターが唸りまくっています。粘っこく、ハーモニックな彼独特の音です。13.と14.は日本盤だけのボーナス・トラックです。どちらもギターのインストです。ギター・オーケストレーションというやつですね。

 と言うことで、悪くないアルバムです。でもやっぱり弱いなぁ。ギターだけでアルバム作るとどうなるんでしょうね。ブライアン・メイはQUEENのメンバーの中で一番ミュージシャン仲間が多く、友達には大物がいっぱいいます。昔からそういう仲間とアルバムを作ったりイベントをやったりしています。映画音楽もたくさん手がけていて、ロック・ミュージシャンとしてはかなり異質かもしれません。そう言えばフレディーもミュージカル、オペラ好きでしたね。存命していれば必ずミュージカルの制作をしたはずです。もともとそういう嗜好の人がふたりもいたから、QUEENの音楽は他のロック・ミュージックには無い特異なドラマ性を持つことになったんですね。彼らの嗜好は片足はロックに置き、もう片足はショー・ビジネスに置いてふたつの世界を行き来していたということになります。最近再婚したブライアン・メイの奥さんは英国で有名なソープ・オペラ(=日本で言う「昼ドラ」)の女優さんでもあります。でもやっぱり彼の仕事のハイライトは「QUEENのブライアン・メイ」の頃ですね。一旦スターダムに上がってしまったミュージシャンがバンドという基盤を失った時、次にどうするかというのは難しい問題だと思うけれど、彼ら(ロジャー・テイラーも含めて)は焦るでなし、過去の栄光を声高に叫ぶでなし、なんとな〜くQUEENの遺産を利用しつつ仕事もしながら順調に歳をとっているという感じでホッとします。ブライアンはこの後にもソロ・アルバムをリリースしているんですよ。    


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