ところがこれが、なかなかどうしてかなり重いのです。量的に重い(一体何キロあるのか...三宮Seidenから持ち帰るのに手がよれよれになった。)というのもあるけれど、このコレクションって、つまりひとりの人間が限られた一生の間に成し遂げた仕事なんですね。言い換えれば「人生そのもの」と言っても過言ではない。今回奇跡的に発売されたCD群に出会ってしまったのも何かの縁。迷いに迷って結果買ってしまいましたが、素晴らしい!と思いました。QUEEN、特にFREDDIE MERCURYは「軽い」「節操が無い」「中身が無い」「傲慢」「ナルシスト」...色々良くない評価もされる人でしたが人気があったのもまた事実で、その人気に相応しい音楽に対する才能と真剣な姿勢が確かにあったのだ、ということがよくわかるコレクションです。POP MUSICだからと言って、表現としての評価には値しないというのはウソですね。これだけの仕事に対しては、素直に敬意を払わないといけません。 彼 FREDDIE MERCURY は一種「異様」と言ってもいいような、表現に関する特異な感覚(「ゲイ特有の」という面も)を持っていて、普通では受け入れ難いような表現をなぜかPOP("マニア"ではないとこに注目!)と呼ばれる形態にまで持っていくことのできた、とても珍しい、多分これから先も不世出であろうタイプの人でした。彼が単に「変な人」で終わらなかった理由は、ひとえにその「声」に尽きると思います。曖昧さの無い、聴くからに聡明そうなクリアな声そのものの良さと、異常なテンションでもってピンポイントで刺すような音程の確かさ。(と、英国英語独特の活舌の良さ!?)-このコレクションはもちろんLIVEではなくほぼ全てスタジオ・レコーディングなのですが、QUEENのLIVEをビデオ又はCDででも聴いたことのある方なら「そうかもね。」と思われると思いますが、彼は記録に残っているLIVEを聴く限りでは、レコーディングの時のような声(特に高音)が出てないんですね。高音部を旋律を低く変えて歌うこともよくやってました。これはどんなミュージシャンにも少なからず言えると思いますが、彼の場合は高音部がとても特徴的なので、それが目立ちます。でもこのコレクションで聴ける声は「絶好調!」という感じで、(一曲、ひどい風邪をひいてるデモが入ってますけど。)彼の「声」の「In Door派」ぶりが知れます。実は「LIVEは得意じゃない...」という自覚があったんじゃないかと思うくらい。 あと特に楽しいのは、曲が完成して行く過程がこのコレクションでは聴けるということでしょうか。まるで本人がわざと自分の曲の「替え歌」を歌っているような、笑ってしまうような楽しさがあります。「うんうん。その曲じゃなしに、完成した曲に変えて正解やったよ、フレディー。」としごく納得します。こういう「マニア」向けのお楽しみが天こ盛りです。あ、それと。やっぱり彼はソロではQUEENのような成功はできなかっただろうな、というのも解ります。どうやら邪魔する人(QUEENの他の3人)がいないと自分の世界に走って行ったまま、帰って来ない人だったようです。そこがまた笑えて、しかも"良いよなぁ...!"と思うとこでもあるわけですが。彼は他の3人のメンバーに出会えて本当に幸運だったんじゃないでしょうか。 今から聴いてみたいと思われる方。残念なことに、日本盤(輸入盤との違いは、日本語の解説冊子が1冊付いてるのと、帯が日本語ということ。)は、日本国内の正規のルートではもう手に入らないようです。輸入盤も、日本国内では見つけるのが難しくなっているようです。でも、" QUEEN online.com "(本国・英国のQUEENのオフィシャル・サイト)では、日本語解説冊子付きで通信販売があります。日本語解説冊子のみの販売もあります。(2004年6月現在)。 ※外国のサイトで通販...。利用するのにすごく勇気がいるでしょうが...。 では各CDとDVD、豪華写真集などの解説を一つずつしていきましょうね。 |