1995,07,27掲載
キャンプ[4]

ランタンたち

ランタン使って夜を満喫

 夜は暗い。当たり前のことに気付かされるのが野外だ。

 わが息子も1歳のときにキャンプに連れていったら、夜を怖がってひどく泣いた。

 キャンプ場の夜というと、よくカラオケやオーディオの騒音が問題になる。あれも都会とは少し違う夜の楽しみかもしれない。が、夜の暗さ、静かさを満喫できないとしたら、マナーの問題以前に、つまらないキャンプだ。

 どこかで葉のそよぐ音がする。鳴き声が聞こえる。火がはぜる。流れ星が走る…。人が騒がなくても、自然の夜は十分にぎやかである。

 夜を大切にするなら、照明に気をつかいたい。たき火の明かりだけ、というのもいいが、生の火は魅力的すぎて、他に目が向かなくなりがちだ。

 ランタンをうまく使って夜を満喫したい。ランタンの良さは、ちょうどいい明るさ、暗さを作れることだ。

 虫よけには一番明るいランタンを、ちょっと離れたところにつるすといい。

 仲間とキャンプをして3種類ぐらいのランタンが集まると、かなり豊かな空間が生み出せる。

 家で、天井からのフラットな1灯照明に慣れた目には、その陰影が魅力的だ。

 家で見るより、キャンプの夜の子供たちが大人に見えるのはこのライティングのせいかもしれない。

 当たり前のことだが、ランタンから離れるほど光が弱くなる。徐々に深い自然の夜が始まっていく。

 手元が明るいと周りが見えなくなる。明るいものは直接目に入らない位置にし、手元には優しいキャンドルランタンを置く。

 明かりを絞ると、これまで見えなかった星までさっと満天に広がる。魔法の瞬間である。



文:石井研二 絵:石井光