アウトドアへの招待
ピクニック[1]

バスケットで本格気分
京都の嵐山へ出かけた。保津川で貸しボートに乗り、久しぶりでオールを握った。物売りの舟からビールを買い、日だまりに艇をとめる。山の桜もちらほら。大好きな季節だ。
「アウトドア・シーズン到来!」という広告が出るのは毎年6月ごろ。時間的な余裕という点では、なるほど長い休みの取れる夏がいいが、本当は春と秋の方が適している。日本の夏は蒸し暑く、自然を楽しむには、やや不向きだ。
その点、春は最高。第一、新緑がまぶしく、ピクニックに出かけても気分がいい。
最近はピクニック用品もいろいろな種類が増え、花見の人込みの中にも、若い人たちがクーラーボックスからワインなど出し、美しいグラスを傾けているのを見かける。なかなかのセンスだと思う。
この春の花見は、人込みを避け、里より遅い山桜見物をおすすめしたい。
弁当持参なら「ピクニック」、行った先で料理すれば「デイ・キャンプ」と、同じ日帰りでも呼び名が変わると言う人もいる。が、むずかしく考えることはない。手近な自然の中を散策して、家族や仲間とおいしい食事を楽しめばいいのだから。
車で動くなら、前もって細かい地図を見ておきたい。目的地近くに市場や商店街があれば、新鮮な山の幸、川の幸も手に入る。
籐のバスケットに皿やナイフ、フォーク類をセットにしたピクニックバスケットを持っていけば、同じ川原の花見でも、ずいぶんイメージが変わるはずだ。
ただ、英国製の本物は5、6万円と高い。ちなみにわが家では、安いバスケットにアルミホーローの皿を買い、自分でセットして使っている。
中国雑貨の店などで気に入ったデザインのものを探せば安いし、軽い。それでいて使い捨ての紙食器にはない味わいがあるのだ。
1995,4,6
文:石井研二 絵:石井光