アウトドアへの招待
晩秋の野外料理[1]

意外と手軽にできる燻製
日本では夏がアウトドアシーズンということになっている。河原などはばーばキューする家族連れでいっぱいになる。
夏はビールもうまいし、すぐ食べられる簡単な料理が望ましい。第一、夏の野山は暑くて、ゆっくり火の番もできない。手の込んだ料理をすると汗だくだ。鉄板や網でお好み焼きや焼き肉など、気軽につまめるようなものが一番。
その点、これからの季節、野外で少し凝ったことをやってみたい人にはお勧めである。スパイスを豊富に使った煮込みなどのおいしくなるシーズン。そこで今回から、野外料理について少し書いてみよう。
まずは、燻製の話から始めたい。これが意外なほど手軽でおいしいのだ。
長時間保存できるような本格的なスモークは道具も準備も大変だが、できたはしから食べてしまうような、野外パーティーの一品としてなら、非常に簡単。
粗っぽい言い方をすれば、スパイスで調味した塩水につけこんだ肉や魚を箱の中に入れ、サクラの木のチップをいぶした煙をかけるだけ。
チップはアウトドアショップなどで手に入る。サクラやヒッコリーが無難だが、紅茶の葉などを混ぜて香りを変えたり、工夫してみるのも楽しいだろう。
イラストは、我が家で作った手製の燻製箱。ベニヤ製で温度は上げられないから、本格的なハムやサーモンというわけにはいかないが、乾かしたタコの足やチーズ、コンニャクぐらいなら手軽に味わえる。
いぶす時間は1時間ぐらい。日帰りアウトドアでもOKだ。煙の温度をあまり高くしないこの方法を「冷薫」と呼ぶ。
こういったメニューを取り入れて、アウトドア料理の幅を広げていきたいものである。
1995,11,07
文:石井研二 絵:石井光