アウトドアへの招待
ハンドクラフト[5]

手軽に土と火に親しむ
夏が若者と子供の季節だとすれば、秋は女性のアウトドアシーズンといえる。
紅葉狩り、花めぐり、スケッチ旅行、味覚の旅、温泉探訪と、山が最も美しい季節ならではの楽しみがいくらもある。旅館に泊まって自然を満喫するのも立派なアウトドアライフ。何も冷える秋の山中で無理にテントを張る必要はない。
陶芸も秋になると挑戦したくなるもののひとつ。土と火という大自然を手中にする、素晴らしい楽しみだと思うが、男性をターゲットに作られているアウトドア誌にはなかなか情報が出てこないのが残念だ。
家に窯をしつらえるほどではなくても、予約しておけば、ろくろと窯を使える場所があちらこちらにできてきた。老舗は信楽だが、岡山などにも点在する。
先日、私の友人一行が岡山でひねってきた陶器が、焼き上がって送られてきた。2泊3日の山行では焼き上げるのは無理だから、宅配を手配しておくわけだ。
中国道を新見ICで降りて南へ15キロぐらいだろうか、吹屋という町だった。ベンガラの里として知られている。一行は短時間に手打ちソバまで打って、満喫して帰ってきた。
作品は予定通りの仕上がりになったものもあり、残念ながら割れてしまったらしく、送られてこないものもある。大皿を作るつもりがうまくいかず、時間切れ寸前になんとか灰皿に仕上げた、なんていうのもある。
一緒に旅した仲間がまた集まって、旅の思い出話をする機会を作ってくれるのだから、二度楽しめる旅といえるだろう。
かっこうのいい形に仕上げるのは難しいが、指の跡などが分かるような作品の湯飲みで、岡山の山の甘口の地酒をやるのもまた格別の味だ。
問い合わせは成羽町観光協会 吹屋支部へ
1995,9,28
文:石井研二 絵:石井光