スノーキャンプ[2]

自在な雪に創作意欲も
雪の上に生活空間を作る。これがまた楽しい。前回、テントを張る前に雪を踏み固めようと書いたけれども、雪は固められるというのがミソである。
ホームセンターで売っているような、大きなシャベルなど車に積んでおくとこういう時に大変便利だ。
踏んだり、シャベルの底で叩いたりして固めた雪を積み上げれば風避けの壁が出来上がる。風の強い日にキャンプをするという場合、雪の中の方が有利なのではないかと思うぐらい。雪のない晩秋、テントを叩く風を弱める方法というのはなかなか難しい。壁を作る素材がないからだ。
また、絵にあるように、固めた雪というのはテーブルにもなれば、ベンチにもなる。こっちをトイレにして、目かくしの壁を作ろうとか、考えだしたらキリがない。設営をしているのだか、遊んでいるのだか、分からなくなってくる。まあ、それでいいのだろう。
コツも技術もいらない。テーブルがきれいな四角でなければならない理由もないし、上の面がだいたい平らになっていれば食事などでも不自由はない。自分の欲しいとおりのサイズの机が手に入る世界が他にあるだろうか!
キャンプが、自分の家以外で暮らしを作る遊びだとすれば、スノーキャンプはまさにそういう魅力にあふれている。
まあ作るのもこれぐらいにしておこう、と雪のテーブルに座って、雪を入れた水割りなど傾けるというのが最高である。
誰かが必ず雪ダルマのようなものを作り始める。オーソドックスな雪ダルマは何となく照れるので、ちょっと友達の似顔にしてみたり。雪まつりの雪像というのがあるが、だんだんあれに近いものになってくる。
「かまくら」や、固めた雪をレンガのように積んで「イグルー」を作るというのは少し難しい。が、「かまくら」を小型にした中にキャンドルを入れたものを並べれば幻想的な美しい夜が生まれる。
自分の力で形にできる素材があると、創作意欲のようなものが湧いてくるから不思議だ。
1996,2,8
文:石井研二 絵:石井光