アウトドアへの招待
ピクニック[3]

楽しく歩く、基本は靴
4WDの自動車で出かけて、いいテントを張るのが「本格的」という言い方もあるが、そんなことはない。ただブラブラ歩く方がよほど自然にフィットする。ピクニックでも、食事の後は少し歩いてみたいもの。
自動車旅でも、いい景色があったら停車して、歩く。目的地へ急ぐ旅は似合わない。いつでも寄り道できる自由さこそアウトドア。北陸道や中央道方面の山で、遅い雪どけの水でコーヒーなど沸かすのは最高だ。
歩く原動力は好奇心。あそこは見晴らしが良さそうとか、あ、花が咲いているとか。森林浴とかいう名目はすぐどこかに行ってしまって、「いいなあ」という気分だけ残る。
子供と一緒なら、できれば急き立てず、彼らの興味にまかせて、いつまでもアリの動きを追いかけるような立ち止まり方をしたい。
歩くというのはのんびりしているようで、実はけっこうハードな運動である。山道を歩くのは、都会とは違う。アップダウンがあるし、小石ですべったり木の根につまずいたり、イレギュラーの連続。だからいくつかの注意が必要になる。
荷物はリュックやウエストポーチに入れて、両手をあけること。ジーンズなどの硬いズボンは、アップダウンのきつい道では快適に歩けない。チノパンツのようなソフトなものがいい。
京都・西大路の『らくざん本店』(tel.075-662-3606)のような、いいアドバイザーのいるショップに行くといろいろ教えてくれるが、基本は靴だ。
ウォーキングシューズのデコボコの底は変化の多い地面をしっかりつかむし、衝撃から足を守ってくれる。購入したら家の近所で履きならしておくと良い。
お気に入りの靴に誘われて、山へ出かけたくなる春だ。
1995,4,20
文:石井研二 絵:石井光