アウトドアへの招待
キャンプ[2]

自分のスタイルで
キャンプを、単に「テントで寝ること」と思っている人が多いが、それは間違っている。自分のスタイルを持って、自然の中で過ごすことだ。「道具を揃えないとできない」と思わないでいただきたい。
例えば、教育キャンプ場でおなじみの三角テントなど、張るだけでひと苦労させられる。
古いテントとヤブ蚊と汚いトイレのせいで、キャンプ嫌いになった人がいるのは残念なことだ。
ロッジやバンガローつきのキャンプ場が増えているのをご存じだろうか。
これなら、虫やトイレの問題を気にしなくて済む。人気が高いので予約が必要になるが、テントで寝なくても、楽に自然を満喫できる方法のひとつだ。
最近造られた施設が多いから、内部も清潔で、ベッド形式のところがありがたい。
木でできたバルコニーで林を抜ける風に吹かれていると、蒸し暑い都会のことを忘れてしまう。
お気に入りのキャンプチェアを広げて、星を見ながらゆっくり飲み食いする。バンガロー形式なら、設営に時間をとられないので、自由になる時間が多いのだ。
ひと言でいえば、何もすることがない。ここまでは食事の時間で、ここからが「自由時間」といった、区切られた時間が必要ないのだ。これが不安だという人は現代病にかかっているのかもしれない。
前回、お目当ての遊びのための手段としてのキャンプを、と書いた。そうしたキャンプを何度も経験している人にも、バンガローにはまた違った魅力があるだろう。
お目当ての遊びの幅を広げて、普段読めなかった本を読むとか、手紙を書くとか、一見アウトドアらしくない目的を持つ人をも、バンガローの周りの自然は、やさしく受けとめてくれるはずだ。
1995,7,13
文:石井研二 絵:石井光