夏休みの冒険[2]

日射、熱射病にご用心
長い夏休み、と思っていると、あっという間に通り過ぎてしまう。普段学校を休みたくてもカゼひとつひけないのに、休みに入った途端にひどい夏カゼにかかって、結局どこにも行けなかった、なんて経験は誰もがしているだろう。
もうほぼ半分終わった夏休み。子供たちは思い出に残るような過ごし方ができているだろうか。
映画『スタンド・バイ・ミー』ではないが、夏の冒険と言えば、「どこまでも行くこと」につきる。いつも「この向こうはどうなってるのだろう」と思っていたその道を、どこまでも歩いてみる。自転車をどこまでもこぎ続ける。そんなことが、実際の移動距離は短くても、強く印象に残る旅になるだろう。
もちろんそれで危険な目に遭うのは困るので、大人としてはうまくサポートしてやりたい。
サポートのひとつとして忘れてほしくないのが日射病、熱射病の予防である。近所を歩きまわっているだけならまだしも、自転車でアスファルトの道をどこまでも走り続けるといった冒険になると、路面の温度はゆうに40度を越える。
物理的に倒れてしまうのはもちろん避けなければならないが、熱にやられて冷静な判断を欠くのも怖い。ここで引き返さなければというタイミングを逃してしまったり、事態を悪い方へ動かしてしまうのだ。
子供のころ、キャンプに連れていってもらった人に、首筋を日に焼かないようにするのが一番だと教えられた。その人が野球帽の後ろにタオルを縫い付けてかぶっていたのを覚えている。
イラストにしたのはモンベルというブランドで出ている「ステンレスメッシュキャップ」である。その名の通り、ステンレスを凝着した生地で、しかもメッシュ。通気性はよく、陽光をはね返してくれる。高機能な帽子だが、3000円程度で販売されている。
サイクリングでもカヌーツアーでも、長時間両手がふさがっているということを忘れてはいけない。パドリングなどに夢中になっているうちに、日射のことに注意がいかなくなる。
もちろん、帽子に頼りきらず、木陰での休憩をはさむなどの計画をたてることが基本だ。
1996,8,8
文:石井研二 絵:石井光