夏休みの冒険[3]

RVにも2世帯型を
RV車が依然、絶好調だそうである。増産につぐ増産で自動車工場はラインを休ませる暇もないのだと聞く。夏の冒険旅行には欠かせない移動手段になっているといえるだろう。
わが家も実は車を買い替えようと検討中である。何しろ子供が3人になってしまって、今の軽自動車ではどうしようもないといった感じだからである。別段、RVが欲しい、と思っているわけでもないのだが、選ぼうとすると自然にRV系の車に絞られてくる、といった感じか。
というのは、うちのガレージが狭いからである。
これも妙な話で、昔、冬のスキー時期に一部の若者やクリエイター種族に売れる車だったころのRVは大きかった。ランドクルーザー、パジェロ、サファリと、巨大な車のオンパレードだった。これらはその名の通り、アフリカのサバンナやオーストラリアあたりを走っているような、巨大な自然を相手にするイメージ。大きいのも道理だ。
うちの狭いガレージにはそんな車は入らない。うちの家は典型的な狭い3階建て。1階がガレージというパターンで、間口は狭いし、前の道も狭い路地だし、何より天井が低いのだ。
そんな家で5人家族。両親も健在だから、別に住んでいるとはいえ、時には7人で乗りたいということになる。そうすると5ナンバーで7人乗りの車を探すことになるのだ。最近多くなってきたこのスタイルの車、すべてRVに分類されているという次第。
2世帯住宅も多くなっている昨今、別にアウトドアファミリーでなくても5ナンバー7人乗りを探すことがもっと多くなるだろう。
コマーシャルなどでどこのメーカーもこぞって親子でアウトドアへ行く図になっている。2世帯住宅からおじいさんおばあさんも一緒に近くへお出かけ、といったシチュエーションのCMがあってもいいような気がするが、どうだろう。
最近のおじいさんおばあさんは元気なもので、家族のアウトドア風景も、2世帯型になっていくだろう。RVにもまた新しいコンセプトが必要になるのかもしれない。
1996,8,15
文:石井研二 絵:石井光