やってみようアウトドア
昆虫採集と飼育[2]

まずは興味にまかせて
ある科学者の話。「最近の子供は科学が発達しすぎてかわいそうだ。興味をもって、例えば時計を分解してもゼンマイも何もない」。そこにあるのは電子部品だけ。どうして動いているのか、原理が分からなくて興味が止まってしまうのだ。
昆虫採集は残り少ない科学原理体験のひとつかもしれない。バッタを手に採れば、足の力強さや動き方を体で理解できる。
先日、兵庫県・栃原で少し虫を追ったとき、バッタとコオロギの子が捕れたから、帰ってからいろいろ図鑑を見てみた。「コオロギは共食いするから他の虫を一緒に飼わない」「卵を生ませたかったら、10センチ以上の深さの土を入れておく」
懐かしい。子供のころ、一生懸命読んだことと同じだ。これは親が子供に教えるようなことじゃない。子供がどこかで読んできて親に教えるようなことだろう。
草むらにいるバッタは網を低くスイングし、飛びたつのをすくいとるようにする。これも子供のころ、体験的にやっていたこと。
まず興味にまかせて捕ってみる、飼おうとしてみる。それが大切だ。そのうちに、「あれ、共食いしてる!」という発見が興味を深める。失敗して死なせるとかわいそうと思う。が、死も含めて、子供にはよく見ておいてほしいのだ。一度でも、死なせたくないと感じてほしいと思う。
1997,7,17
文:石井研二 絵:石井光
野外を楽しむインターネット・ホームページ
Mokuzou Photo-Gallery2
http://www.hikarigaoka.jp/~mokuzou/
子供のころ、昆虫が大好きだった東京生まれのビジネスマンが、撮り続ける昆虫写真の充実したギャラリー。大好きな虫の姿を思いだしたいときはこちらへ。