1997,7,17掲載
昆虫採集と飼育[2]

バッタとこおろぎ

まずは興味にまかせて

 ある科学者の話。「最近の子供は科学が発達しすぎてかわいそうだ。興味をもって、例えば時計を分解してもゼンマイも何もない」。そこにあるのは電子部品だけ。どうして動いているのか、原理が分からなくて興味が止まってしまうのだ。

 昆虫採集は残り少ない科学原理体験のひとつかもしれない。バッタを手に採れば、足の力強さや動き方を体で理解できる。

 先日、兵庫県・栃原で少し虫を追ったとき、バッタとコオロギの子が捕れたから、帰ってからいろいろ図鑑を見てみた。「コオロギは共食いするから他の虫を一緒に飼わない」「卵を生ませたかったら、10センチ以上の深さの土を入れておく」

 懐かしい。子供のころ、一生懸命読んだことと同じだ。これは親が子供に教えるようなことじゃない。子供がどこかで読んできて親に教えるようなことだろう。

 草むらにいるバッタは網を低くスイングし、飛びたつのをすくいとるようにする。これも子供のころ、体験的にやっていたこと。

 まず興味にまかせて捕ってみる、飼おうとしてみる。それが大切だ。そのうちに、「あれ、共食いしてる!」という発見が興味を深める。失敗して死なせるとかわいそうと思う。が、死も含めて、子供にはよく見ておいてほしいのだ。一度でも、死なせたくないと感じてほしいと思う。




文:石井研二 絵:石井光

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